Thursday, January 10, 2013

Memories of warm sounds in Argentina

今年初のCD紹介は、思い入れのあるアルゼンチン音楽から。
エピソードを含め少し長くなってしましましたが、
お付き合いくださいませ...

●Carlos Moscardini / Silencios del Suburbio 1.900円 (在庫×)

2012年9月28日ブエノスアイレスのCafe Viniloで行われたアルバム発売ライヴはアルバムと全く同じ編成で行われるとのことで期待して会場へ足を運んだが予約ですでにソールドアウト。残念ながら入れなかった僕たちは僅かに外に漏れる演奏音や歓声と拍手を聴きながら併設したカフェでアルゼンチンの伝統料理を食し彼のライヴを想像していた。
終演は確か23:30頃だったのに子供から老夫婦までおめかしをした方々がみな笑顔で興奮して出てきた。それほどにマエストロとしてアルゼンチンでは愛されている音楽家なのだとその時強く感じた。

カフェ店内の窓からそうして人が出ていく風景をながめていたのだが何やら人だかりが出来ていたので、おそらくカルロス・モスカルディーニ本人が会場から出てきたのだと思い会計をすぐに済ませカフェを出た。彼の顔は1997年発売のCDが印象的だったので当時のジャケット写真から想像していたが、歳と共に円熟味をました穏やかな表情の本人が人だかりの中にいた。いわゆる”出待ち”をしたことになったが、人を掻き分けスペイン語もままならない僕たちなのに思い切って話しかけに行った。最新作『Silencios del suburbio』に快くサインをして頂き、交わした優しい手の温もりはまさに本作のジャケットカヴァーの通り経験の豊かさを物語っているようだった。

そして、当日はカルロス・アギーレのレーベルshagrada medraにも縁が深いヴァイオリニストのラミロ・ガージョも客演していたので、相次いで出てきた彼に「Hola!」と声をかけると「コンニチハ!」と日本語!で返してくれた。彼はオルケスタとして何度か日本に来日しているので挨拶だけは覚えているとのこと。久しぶりに見た日本人に興奮したご様子でした。

『Silencios del Suburbio』は、モスカルディーニのクラシックギターを軸に、ラミロ・ガージョ(ヴァイオリン)やリリアン・サバ(ピアノ)、ルシア・ラミレス(バンドネオン)等が”郊外の静寂”風景を描いた作品。CDジャケットの中を開けると「私の子供たちフリアとサンチアゴ へ」とメッセージがあり、Oliverio Girondoの詩に曲を付けた#3Campo Nuestroでは父親としての温もりある歌声も聴くことができ、愛娘フリアに捧げた#6Juliaでは子守唄のように柔らかな音色で奏でられるギターとピアノが美しい。そして#8Aguas y Penasではギターとヴァイオリンがドリーミーに響く。アートワークは娘のフリアが手掛け、アルゼンチンepsaレーベルから愛情溢れる作品が生まれました。

下記3曲つなげて試聴作りましたので是非聴いてみて下さい。

0:03~ #6.Julia

1:43~ #8.Aguas y Penas

3:26~ #3.Campo Nuestro



※試聴音源をアップしたときに雑音が少し入ってしまいお聴き苦しい箇所があります。あらかじめご了承くださいませ。CD音源はもっとクリアーで厚みのある音です。