Wednesday, October 24, 2012

Peaceful voice / AR 2012 ⑭

ブエノスアイレスに着いた夜。
最初に観に行ったライヴがエドガルド・カルドソのライヴでした。
カルドソの演奏が始まった瞬間、
満員の会場との距離が一気に縮まった。
それは、大きな会場だということを忘れてしまうほど
そっと傍で歌っているようななじみ深い歌声に魅了されたから。
安定感あるギターの技と表現力を持っているのに
全く押しつけがましく感じない。
ニューアルバム「6 de copas」の曲説明を挟みながら
演奏が進んで行くのですが、とても穏やかな表情で
観客をニンマリさせる話術も楽しく多くのファンがいるのも納得しました。

この「6 de copas」は、そんな彼の魅力がつまった
ユーモア&インテリジェンスなソロ・アルバムです。
プエンテセレステというグループの
ギター&ヴォーカルも担当するカルドソのオリジナル曲と
エントレ・リオス州の詩人Juan.L.Ortizの詩に曲をつけた内容は
アルゼンチン音楽シーンの将来を担う風格が漂います。
友人から届いた手紙を読むような感覚で笑顔になり
気負わず肩の力がすっと抜けるような安堵感が
彼の音楽の魅力だと思います。

●Edgardo Cardozo / 6 de copas   1.900円 (在庫✕)



 会場のCentro Cultural de la Memoria Haroldo Conti

余談かもしれませんが、今回の旅ではエントレ・リオス州パラナーで
Juan.L.Ortiz文化会館へも行きました。
パラナーで最期を過ごし、河の風景について多くの詩を書いたことで
彼の名前が付けられたようです。廃線になった鉄道の駅舎を改装したその文化会館は
珍しいFIAT社の列車の中が案内所になっており、数人の写真展
(偶然にもカルロス・アギーレさんのサウンドエンジニアでありフォトグラファー
Mateo Oviedoさんの写真展示もあり!)や、Juan.L.Ortizの壁画、
Juan.L.Ortizについて話し合うディスカッションルームもありました。



(photo by Nobuhiko Nakamura)